夢喰い虫

食☆欲☆の☆秋

甘い甘い蜜を舐める　もうおなかもいっぱいかな
だけど目の前にあるから　あと少しだけ舐め続けていよう
ぶくりぶくり身体も肥えて　飽きるほどたくさん眠って
何か忘れた気もするけど　忘れるなら大したことじゃないな

毎日　毎日が　幸せなんだと　自分に言い聞かせて
立派な建前で意地を張る

私はまるで

夢喰い虫　甘さを舐めて　辛酸は　吐いて捨てる
本質を曝け出すことを恐れて　つまらない冗談で笑う

雲じゃおなかが膨れないのも　描いた餅が食べられないのも
葡萄がすっぱくないことも本当は全部知っている
だけど目を閉じたままなら　どんな味も思えるから
養分にもならない蜜をずっと舐め続けているんだ

根拠も無い楽観的観測で極論の栄養学
美味しいものばかり食べ続けていたいだけの

夢喰い虫　私の後に　道も出来ず死屍累々
噛むことすら怠けて衰退した口先が力なく笑う…

夢なんて見なくたって生きていける気がするんだ
趣味の程度だってそれでもいいかなって
歌なんて歌わなくたって生きていける気がするんだ
燃やし尽くす情熱に冷や水を浴びせてさ

夢喰い虫　昔に見てた　幻想を吐いて捨てる
とびきりの甘さに舌が痺れて何も紡げなくなる
夢喰い虫　辛酸を舐めて　ゲル化した甘さに逃げる
そんな楽しくもないのに笑う日々なんて早々に消化して
夢を見て　夢を描いて　この身体の一部にする！